残業女子のゆるゆるバランス自炊

毎日仕事で帰りが遅くても、手を抜きながら健康的な食生活を整えるために工夫しています

私たちは1日にどれだけの食品添加物を食べているか

これも以前質問されて答えられなかったこと。
「日本人は1日に20gも添加物を摂っている」と聞いたことがあると言われ、私はそんなの初耳だよ!と思いました。
一応食品を専門に勉強してきたつもりなのに、初耳が多くて情けないです。

添加物の摂取量についての調査は、厚生労働省によってされています。
毎年何かしらの調査(用途別に絞って)はされているのですが、最も多く(100種類)の食品添加物を調査した、平成12年の調査をみてみたいと思います。

マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査

1995年〜1997年の国民栄養調査をもとに、日本人がどの食品をどれだけ食べているかを計算し、その量の食品を市場で購入して添加物量を分析しています。
このデータを見ると、成人で1日に21057 mgの食品添加物を摂取しているそうです。
つまり、約21 g。
私に質問した方は、おそらくこのデータをもとにした記述に接したのだと思います。

ただ、ちょっと待った!

食品添加物として定量された成分の一覧の中には、食品中にもともと含まれる成分も多くあります。
たとえば、果物に含まれるクエン酸やリンゴ酸、野菜に含まれる硝酸塩などがあげられます。
ビタミン類としては
・β-カロテン(=ビタミンAとしてはたらく)
チアミン(=ビタミンB1
リボフラビン(=ビタミンB2
アスコルビン酸(=ビタミンC)
トコフェロール類(=ビタミンE
がありますし、
ミネラルではカルシウム、鉄、マグネシウムがあります。
ほかにも、テアニン(緑茶の成分)やヘスペリジン(柑橘類の成分)などは機能性成分としても知られています。

この調査では、食品に含まれる量すべてを定量しているため、
この量=添加物量ではありません。
天然に存在する成分と、食品添加物として加えられた量の総量が示されています。
しかし、どの量が食品由来でどれだけが添加物由来なのかはこのデータからは分かりません。

一般的に「添加物」というと、もともと食品には含まれていないのに添加されている物質を問題として取り上げることが多いと考えられます。
そこで、天然には存在しない物質のみの合計値を出してみることにしました。

天然だからといって必ず安全というわけではないのですが、その件については後で触れます。

この調査では、天然成分として存在しない成分をA群、天然成分としても存在する成分をB群と分けています。
A群のみの合計値(成人)を計算すると、1日の摂取量は2127.5 mg*1

初めの数値を見ると、訳の分からない成分を21 gも取っているのか!と思ってしまう人が多いのかもしれませんが、
実際は2 gなんですね。。

この2127.5 mgのうち、オルトリン酸(リン酸)が2094 mgを占めます。
その量を差し引くと、33.5 mgとなります。
いろいろ話題に出されている食品添加物を合わせても、これだけの量にしかならないのです。

とはいえ、これが実際どれぐらい安全/危険なのかは、天然・非天然にかかわらず量で把握していく必要があります。
天然物であっても摂りすぎれば害になりますのでね。

そこで、ADI*2と比較したデータ*3を見てみます。
摂取量とADIを比較すると、ADIを上回っているものはひとつしかありません。

それは、硝酸塩です。
先ほど述べたように、硝酸塩は野菜に含まれています。
報告書の本文では、添加物由来はADIの1%以下であること、野菜を洗ったり調理したりする過程で硝酸塩が流出することから、実際の摂取量はこのデータよりも少ないと推測されています。
ADIは超えてすぐ毒性が現れる量ではないし、食品に含まれる成分をADIで評価するのは違和感がありますが
やはり超えているのは好ましくないので、栽培技術の工夫等で減らすことが望ましいと思います。
(野菜の硝酸塩に関する情報は農林水産省のサイトにも掲載されています)

しかし、その他の化合物はADIを下回っています。
一般的に本やネットなどで心配されているような添加物についてみてみると、
いわゆるタール系色素なんて0.1%にも全く満たない量だし、BHT・BHA・OPPはそもそも摂取量が0mg。
安息香酸で0.3%、ソルビン酸で1.2%。
亜硝酸塩でも9.6%なので、ハム大好きで毎食山のように食べまくる!とかでない限り大丈夫かと。

こうしてみてみると、それぞれの添加物が安全な範囲内で使われていることが分かります。
ただ、安全と安心は違うので、そんな成分を体に1 μgだって入れたくない、とお思いの方は避けていただくしかないのでしょうね。
「量が少ないなら安心」と思っていただける世の中になれば良いと思うのですが…

*1:表10-4をもとに計算しました

*2:前回の記事参照

*3:表6