残業女子のゆるゆるバランス自炊

毎日仕事で帰りが遅くても、手を抜きながら健康的な食生活を整えるために工夫しています

無添加はかえって危ない/有路昌彦

食品安全委員会にも関わっている著者が「無添加食品」を切り口に添加物について書いた本。
リスクとベネフィットだけでなく、経済的な面からみた損失も考察されていたのが興味深かった。

食品添加物が危ないと思われる訳

食品添加物がなぜここまで目の敵にされているのか?というのが私の疑問としてずっとあるのですが、やはり昔の中毒事件が印象に残っているからとのこと。
さらに誤解を増幅する要因として、教育・メディア・学者が挙げられていました。
メディアによって「危険」は伝えられるけれど「安全」は報道されないので、ネガティブなニュースしか消費者の耳には入ってこないからだ、と本書では理由づけられていました。

これって食品に限らずどんな情報でもそうだと思います。
一消費者として、「自分の知っていることがすべてではない」ということを認識しておかないといけないな、と感じました。

リスク&ベネフィットコミュニケーション

食品添加物の勉強をするとおなじみになる、リスクについての考え方がこの本にも書かれていて
BSE感染した肉を食べて変異型クロイツフェルトヤコブ病にかかるリスクを1とすると、重篤な食中毒にかかるリスクは384倍。タバコが理由で死亡するリスクは約438万倍。
というわけで、ニュースに踊らされて騒ぎ立てていながら、肉をよく加熱しないまま「これくらい大丈夫だよね」と食べたり、タバコを吸ったりするのはどうにもおかしい。ということになります。

ちなみに入浴中の溺死は約38万倍だそうで、最近危うく溺れかけた私にとっては衝撃でした。思ったよりお風呂ってリスク高いですね…

そう考えると、やはり人々は自分のよく分からないことや耳慣れないもの(添加物やBSE)には大きすぎるほどの恐怖感を抱くけれど、馴染みのあるもの(肉、タバコ、お風呂w)にはリスクがあると感じにくくなるのだな、と改めて実感しました。

さて。
そんなリスクをどう人々に伝えていくか、ということですが、リスクを伝えるだけでは「含まれていないに越したことはない」という考えてしまうようです。
そこで、食品添加物の果たしている役割をリスクとともに伝えると、受け入れられるのだそう。

今までリスクコミュニケーションというと、リスクの考え方を分かってもらわなければ!と思っていましたが、ベネフィットもきちんと伝えることでより理解してもらえるコミュニケーションになるのだなとわかりました。