野菜の栄養成分は時代とともに減少している?
タイトル通りの質問をたまたま知り合った人にされ、
こんな話が世の中にあること自体知らなかった私は何も答えられなかったので
これを機に調べてまとめてみることにしました。。
この話の根拠としては、食品成分表を新旧見比べた時に
この50年で、ビタミンCの含量が
ホウレンソウ 150mg→35mg
トマト 20mg→15mg
ニンジン 10mg→ 4mg
と変化している、ということらしいです。
(数値はすべて100gあたりです)
そこで調べてみると、こんな論文を発見しました。
日本食品標準成分表の改訂に伴う野菜中のビタミンC収載値の変動に対する分析法の影響*1
さっくりまとめると、
ビタミンC含量が減ったのは、分析法が変わったせいだと。
今の野菜を昔の定量方法で測ったら、昔の成分表に近い値が出ましたよ、
ということです。
だから、成分表の値をもとに「栄養量が減少した」と言ってしまうのは
ちょっと早合点なんじゃない?という結論です。
とはいえ、一部の野菜では分析法によってそこまで大きな差は出ていないので、
そのほかの要因があるのではないかと思います。
私が考えるのは、野菜の品種改良が進んだためではないかということです。
品種によって栄養価は異なるので(減るだけでなく、増えることもあります)
それが原因という可能性もあります。
また、野菜が一年中栽培されるようになったことが原因の一つだという理由も見かけました。
旬以外の野菜の栄養価は低いので、
ハウス栽培などが少なく、旬の野菜が出回っていた昔に比べると低下している、
という発想みたいです。
確かにそれも一理ありそうです。
「化学肥料を使うようになったから栄養価が落ちた」という意見もあるようですが、
これは先ほどの論文で引用されている通り、ビタミンC含量は変わらなかったと報告されているそうです。
なので、「有機栽培のほうが栄養価が高い」とは言えないみたいです。
つらつら書いたので、ここでまとめ。
*1:栄養学雑誌, 68(2), 141-145 (2010)