残業女子のゆるゆるバランス自炊

毎日仕事で帰りが遅くても、手を抜きながら健康的な食生活を整えるために工夫しています

「プチ断食デトックス」の都合のいい論理

昨晩妹に「プチ断食デトックスって知ってる?」と聞かれ、
なんじゃそりゃ!私の知らない健康情報っていろいろあるんだなあ、と思いました。

プチ断食デトックスとは

妹による説明(バイト先の主婦の方から聞いたらしい)と、ネット上の情報を合わせた方法をまとめると

  • 3日間かけて行う
    • 1日目:夕食を軽めにする
    • 2日目:断食(お腹が空いたらお茶、生野菜ジュースならOK)
    • 3日目:朝食に消化の良いものを食べる

だそうな。

で、それがなぜデトックスになるのか?というと

  1. 肝臓は栄養素の代謝と解毒の2つの働きがある

  1. 栄養を取らないことで、肝臓が代謝をしなくてよくなる(つまり肝臓が休める)

  1. その分のエネルギーを解毒に使える

  1. デトックス!

ということらしい。
ひとつずつ考えてみたいと思います。

1点目:確かにそう。
2点目:栄養を取らなくても、肝臓はすでに取り込んだ栄養素*1を蓄えているので、それの形を変えて体内に送り出したりする作業があるはず。したがって、代謝を完全に休めるわけではない気がします。まあでも外から負担がかからなくなるのは確かにそうかも。
3点目が謎。代謝を休めたから解毒頑張ろう!なんて都合良くいくものなのか?真偽は不明。
4点目。私がデトックスについてよくわかっていない最大の理由は、何を毒と言っているのかがあいまいであるというところです。
肝臓に積極的に代謝して欲しい毒物で、体に残ることで美容に影響を与えるものってなんなんだろう。。
調べてもよくわからず、もやもやが残ります。

そこで、今度プチ断食デトックスを試してみようかと思っています。百聞は一見に如かず。
まあ私が試して効かなかったからといってみんなに効かないというわけではないし、逆も然りなのですが、実感がわけばまた考え方も変わるかもなと思いまして。

その際にはまたレポートいたします。

*1:アミノ酸や糖(グリコーゲン)など

ウソは信じるほうよりつくほうがわるい?

最近本業に追われて、このブログを全く意識せずに生活していたのですが
どうしても書きたくなる出来事があったので、久しぶりに投稿してみます。

事のきっかけは、ふらっと入ったコンビニでたまたま見つけたレシピ本。
野菜のレシピが食材別にまとめられていて、
「食材を買ったのに余ってしまって使い切りたい!」
ということの多い最近の私には便利かも。

と思って、読み進めていくと

「野菜から酵素を取ろう!」

なる特集がありまして*1

普段あまりレシピ本を見ることがないので、酵素が流行っているらしいということは知っていましたが
まさかここまで影響するほど世に浸透しているとは。

監修に栄養士さん(調べてみたら結構メディアに出られている方らしい)も入っているのに
なんでこんな怪しいこと書けるのか、という憤りがふつふつと。

今までは、一般市民のヘルスリテラシーを上げるべきだと思っていました。
科学の知識をベースに、情報を見極めて使っていける能力を身につけてほしいって。
でもこの件で気づいたんです。
まず、間違った情報が流れないようにすることが大切だと。
つまりは、専門家がウソ言っててどうするって話なわけです。

そういえば以前も、レシピ本で
「白砂糖ではなく、精製度が低くミネラルが含まれている三温糖を使いましょう」って書かれているのをみて
出版前にだれかおかしいって気づかなかったのかな。って思っちゃいました*2

なんでこういう情報ばかりが世に出回っているのか考えてみたのですが、
わかりやすくて目をひきやすいからかな?というのが今のところの見解です。

正しいことってあまり目新しくないし、なにより地味です。
結局、いろいろなものをバランスよく食べましょう。みたいな感じになってしまう気がします。
もちろん体にいいと実証されている成分もありますが、
食材としては出尽くした感があります。赤ワインとかオリーブオイルとか。
そういうのより、耳慣れない何かが実はすごく効く!みたいな内容のほうが
人が飛びつきやすくてウケがいいから、そっちに走っちゃうんですかねえ…

まあ、「酵素を取らなきゃ!」と思いたったことがきっかけで野菜をたくさん摂取するようになるのであれば、
勘違いでも結局健康的な食事に近づいているし、いいのかもしれない。
と、最近丸くなった私はそんなふんわりした結論で今回の話を終わらせてみようと思います。

*1:酵素に関してはwikipediaによくまとまっているのでご参照ください(手抜き)

*2:三温糖は茶色ですが、この茶色は白砂糖がカラメル化したものなので精製度は白砂糖と同程度、ミネラルもあまり含まれていません(白砂糖よりはやや多いですが)。精製度が低くてミネラルが多く含まれているのは黒砂糖です。

はてなダイアリーに移転してみた

はじめまして。

旧ブログからはてなダイアリーに移転してみました。

旧ブログは半年以上前に運営していたものなので、
いま読み返すと若干言葉足らずな点や、正直しつこい・押しつけがましい点が見受けられます。
そのため、加筆修正しだい順次こちらに転載します。

はてな記法に早く慣れるよう、がんばります。

栄養医学ガイドブック―サプリがもたらす健康の回復/柏崎良子

栄養素と病気の関係についてもっと知りたいな、と思って手に取りました。

この本に載っているのは、「栄養療法」ではなく、「栄養医学」だそうです。
足りない栄養素を補うという発想ではなく、
栄養素を薬のように用いることで病気を治そうという考え方です
(であってるのかな?私はそう解釈しました)

一般的には「分子整合栄養医学」「オーソモレキュラー」などと呼ばれているみたいです。
さっと調べた感じでは、賛否両論のようですが(^^;;

1章は栄養医学の大切さを語ったもので、
2章は栄養素がどんな働きをしているかについて書かれています。
これが結構専門的な割にコンパクトにまとまっているので、
栄養の基礎を勉強したい人にはもってこいじゃないかなと思いました。

ただ、「タンパク質60gを普通の食事から摂取するのは難しい」としているのですが…
平成23年度の国民健康・栄養調査をみたところ、タンパク質の摂取量は
平均値・中央値ともに60gを少し上回っているので
現在の日本の飽食ぶりからしても、タンパク質不足を心配する必要はないのでは?
(高齢者など低栄養リスクの高い人は除きますが)
と、私は考えました。

3章は、病気・症状別の栄養のとりかたが載っています。

一番目に「低血糖症」が載っているのですが、これがちょっと納得いかなくて。
原因として、「白砂糖や精製小麦粉などの精製食品の大量摂取」が挙げられています。
で、次のページには「精製炭水化物の過剰摂取」として
「精製糖は二糖類なので速やかに腸より体内に吸収されます。
そのため血糖値が急激に上昇し(以下略)」と書かれています。

確かに、食物繊維が含まれているほうが糖の吸収は緩やかになりますし
重量当たりのカロリーは(ほんのわずかですが)減るので、
白米より玄米を食べたほうがよいというのは一理あります。

ただ、この説明での疑問点は2つあります。
・精製小麦粉は炭水化物の中でもでんぷんだから、速やかに血糖値を上げないので
 小麦粉を含む「精製炭水化物の過剰摂取」が原因とは言えない
・精製糖でない黒砂糖だって、糖の成分は二糖類なので
 「精製したことが問題」とは言えない
 (ちなみに黒砂糖には食物繊維は含まれていません)

やや揚げ足取りっぽいかもしれませんが、
「栄養」を掲げた本でこのあたりのことが曖昧にされているのは
ちょっと問題なのではないかと。。

また、75gOGTTの結果を見てと
インスリンが出すぎることによる低血糖が問題なのではなく
その前に血糖値が上がりすぎていることが、根本的な問題なのではないかと思いました。

低血糖症については、この先生がかなり研究されているようなので
もうちょっと本を読んで調べてみたいと思います。
私も、おなかがすきすぎた時に汗をかく、手が震えるなどの症状があるので
興味をかなり持っているところではあります。

他にも細かな気づきはありましたが、
本当に揚げ足取りみたいになってしまうのでやめておきます。

ただ、がんの章に書いてあった、
いろいろな食事をすることでリスク分散を図るというのは
安全性の面からみても確かにそうだなと思いました。

なんだか基本的な考え方の面がよくわからなかったので…
もうちょっと分子整合栄養医学について勉強してみたいと思います。

野菜の栄養成分は時代とともに減少している?

タイトル通りの質問をたまたま知り合った人にされ、
こんな話が世の中にあること自体知らなかった私は何も答えられなかったので
これを機に調べてまとめてみることにしました。。

この話の根拠としては、食品成分表を新旧見比べた時に
この50年で、ビタミンCの含量が
ホウレンソウ 150mg→35mg
トマト    20mg→15mg
ニンジン   10mg→ 4mg
と変化している、ということらしいです。
(数値はすべて100gあたりです)

そこで調べてみると、こんな論文を発見しました。

日本食品標準成分表の改訂に伴う野菜中のビタミンC収載値の変動に対する分析法の影響*1

さっくりまとめると、
ビタミンC含量が減ったのは、分析法が変わったせいだと。
今の野菜を昔の定量方法で測ったら、昔の成分表に近い値が出ましたよ、
ということです。

だから、成分表の値をもとに「栄養量が減少した」と言ってしまうのは
ちょっと早合点なんじゃない?という結論です。

とはいえ、一部の野菜では分析法によってそこまで大きな差は出ていないので、
そのほかの要因があるのではないかと思います。

私が考えるのは、野菜の品種改良が進んだためではないかということです。
品種によって栄養価は異なるので(減るだけでなく、増えることもあります)
それが原因という可能性もあります。

また、野菜が一年中栽培されるようになったことが原因の一つだという理由も見かけました。
旬以外の野菜の栄養価は低いので、
ハウス栽培などが少なく、旬の野菜が出回っていた昔に比べると低下している、
という発想みたいです。
確かにそれも一理ありそうです。

「化学肥料を使うようになったから栄養価が落ちた」という意見もあるようですが、
これは先ほどの論文で引用されている通り、ビタミンC含量は変わらなかったと報告されているそうです。
なので、「有機栽培のほうが栄養価が高い」とは言えないみたいです。

つらつら書いたので、ここでまとめ。

野菜の栄養成分が減った理由として考えられること3点

  • 分析法が変わったせい
  • 品種改良が進んだ結果
  • 旬以外の野菜を食べるようになったからかも

※有機栽培かどうかは関係ない

*1:栄養学雑誌, 68(2), 141-145 (2010)

ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想/畝山智香子

食の情報、特に安全性の情報には 誤解や過剰反応が多いと思っている私にとって、
そうそう、これが伝えたかったの!」と思う内容満載でした。

簡単に簡単に、私の言葉でまとめると
残留農薬食品添加物の基準はかなり安全側に余裕を持たせて設定されている
・天然だからといって安全なわけではない
・いわゆる化学物質よりもお酒のほうがよっぽど発がんリスクが高い
・いろいろなものをバランスよく食べるのが一番安全性の高い食生活
とかとか。

ただ、難しいなと思うのは
これらのことが言えるのは、きちんと基準が守られている
(もしくは、基準が厳しすぎるために少々超えてしまったとしても、
 人体に影響のないレベルである)
ときなのです。

食の安全に不安を感じる、といっても 感じるポイントはいろいろあって

「この食品に○○という添加物が入っているけど、安全なのか」
「この食品に危険な物質は含まれていないのか」
この2つの疑問は別問題だと思うのです。

前者は、物質そのもののリスクの問題なので
基準が守られていれば安全だということができます。
そのため、「危険性は量の問題だ」と認識してもらうことが必要だと思います。
この基準自体に不安を感じている人も多くいると思うので、
やはり基準の設定の仕方、かなり安全側に寄せた設定にしていることを
周知したいところです。。

後者は、食べ物への信頼の問題です。
食品表示に書かれていないor入っているかどうか分かっていない成分が入っているのではないか
そのせいで健康被害が出るのではないか…という問題です。

中国製餃子のメタミドホス問題や、豆腐のエンドスルファン混入など、
実際に健康被害が起こったとき
また、食品表示の偽装事件が起きたとき
こういった不信感が生まれて、
「ほかの食品でもこういったことが起きていて、知らないうちに口にしているのではないか」
と思ってしまうのは当然のことです。
生鮮食品に比べ加工食品に対する不安感が大きいのも、
加工過程で何をしているかわからないことから来ているのだと思います。

消費者の正しい認識と、生産側のモラルとが合わさって 食の安全が守られるのだと改めて感じました。

「健康格差社会」を生き抜く/近藤克則

格差が健康に及ぼす影響と
そんな「健康格差社会」で自分がどうしていけばいいか、
社会がどうあるべきかについて書かれた本です。
「生き抜く」というタイトルの通り、社会状況の説明にとどまらず、今後の方向性も示されている点に好感を持ちました。

格差と健康の関係について、今までの私の理解では
格差が生じる→よくない生活習慣(食生活の乱れなど)→健康が損なわれる
という認識でした。
これも確かに一要因ではありますが、この本の主張としては
格差によるストレス(職業によるもの)や、社会関係(自分と社会との関わり)が重要だそうです。意外。

「格差」というと所得が高ければ高いほどいいと思われがちですが、
絶対所得よりも相対所得の格差が健康に影響を及ぼしているそうです。
平均年収400万のなかで500万円の年収を得ているとき(Aとします)と、
平均年収700万円の中で600万円の年収を得ているとき(Bとします)を比較すると、
絶対所得はBのほうが高いにもかかわらず、BよりAの状況を避けたいと考える人のほうが多いそうです。
なるほど。

でもそうやって考えると、相対的な格差は小さくできてもなくなることはないのでは?と思いました。
誰かが1位になればビリになる人も出てくる、
平均値を出せば半分の人は平均以下になる*1のも仕方ないことかと思います。
人との対比をやめて、個人の尺度で物事をとらえるようにすれば、ストレスも軽くできるのでは?
と、ここまで読んだところでは思っていました。

第3部に書かれている「自分一人でできること」のなかでも、
物事に対するとらえ方を変えることでストレスを軽くする方法(認知行動療法)が紹介されています。
ただ、こういうことができる人はそもそも格差の上層にいる人だと指摘されています。確かにそうかも。
環境に介入し改善していくことで、下層にいる人が健康行動に取り組みやすくなったり、ストレスを減らせたりするようにすることが大事なのだそうです。

健康づくりをするうえでは、やっぱり手軽さって大事だなあと再認識した次第。
ストレスマネジメントももっと勉強してみたいです。

*1:正規分布していればの話