残業女子のゆるゆるバランス自炊

毎日仕事で帰りが遅くても、手を抜きながら健康的な食生活を整えるために工夫しています

がんと食事の関係が一転した理由

特定の食材によるガン発生リスク軽減説の根拠が弱まっていることが判明

ガン発生のリスクを下げるためには、体内の正常細胞を攻撃するフリーラジカルの発生を抑制する抗酸化物質やフィトケミカルを多く含む食物が効果があるとされたり、昔ながらの農村や古代人が食べていた食事に戻ることが推奨されるなどの動きがありましたが、2014年4月に1万8000人以上の研究者が参加して開催された全米ガン研究会議(American Association for Cancer Research:AACR)の年次会議で明らかにされた研究内容によると、それらの食物とガン発生のリスクの間にはほとんど関連性が見られなかったとのこと。

だそうな。

がん予防に効果のある食材と聞いて、アメリカのデザイナーズフーズ計画を思い出しました。
フィトケミカル*1を摂取するために、がん予防に効果のある食材をリストアップしたものですが、これも現在はなくなっているそうです。

研究結果が一転することになった最大の理由は、研究で用いる手法がより緻密なものになったためと考えられています。以前の研究では、対象者への聞き取りは本人の記憶に頼るところが大きかったのに対し、現在ではより科学的な検証方法が取り入れられたことで、客観的な検証が可能になっています。

と記事にはあり、手法の変化が結果に影響を及ぼしたと考えられています。
しかし、英語の原文を読んでみるとすこーし意味が違うような。

原文では、これまでの研究が"retrospective"で、過去を思い出す方法
現在の研究が"prospective"で、大人数の健康をリアルタイムで追う方法、と書かれています。
retrospectiveには「懐旧的な」、prospectiveには「将来の」という意味があることから、この記事では「これまでの研究は古くてイマイチな手法、今の研究は新しくて良い手法」というニュアンスで解釈したものだと思います。

しかし、これは疫学の用語で
retrospective:後ろ向き研究(過去の事象について調査する研究)
prospective:前向き研究 (研究開始後に起こった事象を調査する研究)
であり、後ろ向き研究より前向き研究のほうがエビデンスとしてのレベルが高いとされています。

「手法のレベルを上げたので正確な結果が分かるようになった」
という内容は、原文も記事も同じなのですが
「過去の研究が緻密ではなかった」という解釈はちょっと違うような気が。

話が脱線しましたが、研究が進むにつれて結論が変わることもあり得るので、古い知識にこだわらず新しい情報を仕入れつつ
現在の情報も「今の研究から分かったこと」という但し書きがつくことを頭に入れて、自分で考えながら解釈していきたいです。

*1:植物中の成分で、健康に良い影響を及ぼすとされているもの。がん予防に良いとされているものだと、ショウガ中のジンゲロールやブロッコリー中のスルフォラファンなど