ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想/畝山智香子
食の情報、特に安全性の情報には 誤解や過剰反応が多いと思っている私にとって、
「そうそう、これが伝えたかったの!」と思う内容満載でした。
簡単に簡単に、私の言葉でまとめると
・残留農薬や食品添加物の基準はかなり安全側に余裕を持たせて設定されている
・天然だからといって安全なわけではない
・いわゆる化学物質よりもお酒のほうがよっぽど発がんリスクが高い
・いろいろなものをバランスよく食べるのが一番安全性の高い食生活
とかとか。
ただ、難しいなと思うのは
これらのことが言えるのは、きちんと基準が守られている
(もしくは、基準が厳しすぎるために少々超えてしまったとしても、
人体に影響のないレベルである)
ときなのです。
食の安全に不安を感じる、といっても 感じるポイントはいろいろあって
「この食品に○○という添加物が入っているけど、安全なのか」
「この食品に危険な物質は含まれていないのか」
この2つの疑問は別問題だと思うのです。
前者は、物質そのもののリスクの問題なので
基準が守られていれば安全だということができます。
そのため、「危険性は量の問題だ」と認識してもらうことが必要だと思います。
この基準自体に不安を感じている人も多くいると思うので、
やはり基準の設定の仕方、かなり安全側に寄せた設定にしていることを
周知したいところです。。
後者は、食べ物への信頼の問題です。
食品表示に書かれていないor入っているかどうか分かっていない成分が入っているのではないか
そのせいで健康被害が出るのではないか…という問題です。
中国製餃子のメタミドホス問題や、豆腐のエンドスルファン混入など、
実際に健康被害が起こったとき
また、食品表示の偽装事件が起きたとき
こういった不信感が生まれて、
「ほかの食品でもこういったことが起きていて、知らないうちに口にしているのではないか」
と思ってしまうのは当然のことです。
生鮮食品に比べ加工食品に対する不安感が大きいのも、
加工過程で何をしているかわからないことから来ているのだと思います。
消費者の正しい認識と、生産側のモラルとが合わさって 食の安全が守られるのだと改めて感じました。